名古屋帯(染め・刺繍)
溢れんばかりのお花達。
緑の野をイメージなさったであろう、渋い若苗色を背景に優しい色調でまとめられた可憐な花々。
ただ優しいだけではない花々の持つ生命力やしなやかさは、薄群青~紺瑠璃色で染められたお花に託されたのでしょうか。
その染めの巧みさに引き込まれ、魅入ってしまいますね。
そして、あらゆる部分に柄があること、お判りでしょうか。
どうぞじっくりとご覧になってくださいませ。
太鼓裏に隠れる引き返しの部分でさえ、若苗色の地に白く仄かに浮かび上がる花々がたっぷりと、地を埋め尽くすように描かれているのです。
丁寧に思案しながら彩色を進めていかれた様がよく分かりますね。
作家の意図を辿り乍ら、作品を眺める楽しみも増えそうですね。
若苗色の地に映える葡萄(えび)色の小花もまたとってもキュート。
とにかく、素適。
細部に渡るこだわりや作家の意思が宿るからこそ、私達は作家工芸作品に惹かれてやまないのです。
1979年 大阪芸術大学 工芸科染織専科を卒業
1983年~ 現代工芸展 入選
2003年 福島輝子氏に師事
2005年 国画会に初出品にて初入選し、以降入選