絵画を拝見しているようですね。

 

静謐で凜と輝く天空の明るい月、

躍動する琳派波、
濃紺色の空には銀の煌めく星、あるいは波飛沫の吹雪でしょうか。
月光を受け、宝石のように輝く銀がとても綺麗ですね。

 

静謐で凜と輝く天空の月、
躍動する琳派波、
月に照らされた濃紺色の空には星、あるいは吹雪のような銀が煌めいて。

 

帯の地色は薄鼠色です。
濃き色で染められたシックで静かな琳派波に浮かぶ月がなんと美しいことでしょう。

 

摺銀箔市松を垂れ先とお太鼓上部に染め上げ、琳派写しの月と波を描いた素晴らしき逸品の染帯。

まさしく日本画のようなのです。

 

眺めているだけで心が豊かになる、職人の技術と矜持が溢れる友禅の作品達。
友禅工房はその多くが分業制ゆえ、作家の名が刻まれることはありませんが、とても素晴らしい作品を創り、私共に届けてくださいます。

 

この度ご紹介が叶いました染名古屋帯もその一つ。
どこか一つのピースが欠けても成り立たない、今や薄氷に在る高級手描き友禅の世界です。
どうぞご高覧下さいませ。

 

女性が纏った時に美しくなるよう、琳派の世界観を帯という宇宙にコンパクトに、柔らかく映した染帯ですが、作品の力量や存在感は群を抜きます。
織物や小紋はもちろん、訪問着や付下にも袋帯と同様にお締め下さい。