織物
夏物一覧
全国各地で営々と受け継がれていた染織は、今も私たちの心を魅了して止みません。
とりわけ、沖縄の染織には憧憬をもってご覧になる方が多いのでは。
必然に突き動かされた手仕事の美しさ、その「用の美」に心が動きます。
八重山上布もその一つですね。
多色でデザイン性溢れる八重山も素敵ですが、八重山上布といえば、伝統の白、沖縄の風土に根差した絣文様。
あの海さらしで生まれる深みある白さ、なのです。
八重山上布といえば、この方をおいて語ることは出来ない、中村澄子氏の極上の着尺をご紹介いたします。
ご自身と同じく、沖縄県の無形文化財であるお父様から受け継がれた確かな技術とそれを守る強い意志により育まれるちゅら布。
言葉で語ることは簡単ですが、苧麻(ちょま)作りから始まる気の遠くなる時間を経て、この美しき布は織り上げられるのですね。
銘は「六月の入道雲」。
中村澄子氏の作品展に伺った時に、ひときわ魅力的だった着尺、ムイフム柄です。
梅雨明けの早い沖縄の6月、真っ青な空に立ちあがる真っ白な入道雲。
眩しい日射しを感じますね。
上等の布=上布。その言葉の持つ重みを感じる着尺です。
1937年 沖縄県生まれ
1974年 「沖縄伝統工芸公募展」入選
1981年 「沖展」入選
1991年 沖縄県指定無形文化財「八重山上布」の保持者に認定
祖父、父と代々受け継がれ、中村さんはその4代目。