染織作品に限らず、シンプルなもの程その作品が持つ技量やセンスが試されるもの。
豪華で華やかな色柄、精緻な刺繍や友禅のお着物もとても素敵ですが、その一方、引き算するようなミニマムな美しさもまた、素敵でございますね。

 

この度ご紹介いたしますのも、一流の職人さん方の技量とご経験を惜しむことなく注ぎ込んだ素晴らしき友禅。
弊店オリジナル付下訪問着「金彩横段に宝尽くし」をご紹介いたします。

 

お色は青勝色、紺よりもさらに濃い、深い藍色にお染めいたしました。
礼装＆盛装着では薄色地が多くございますが、着映えする濃地も魅力的。
発色に優れた生地を選び抜き、深みのある素敵なお色に染め上がりました。

 

その青勝色をすっと横切る横段がシンプルで綺麗。
知的な潔さ、自立した大人の女性がイメージです。

 

本金ゆえの鈍い金、そして白金の濃淡で繊細に、そしてきりりと染めた横段は、着物の裾をぐるりと繋ぐのではなく、上前と後身頃の段を少しずつずらし、モダンさをアレンジいたします。

 

この横段”ボーダー”の美しさは格別で、横段のみを染め上げた美しい付下訪問着もご好評でございますが、この作品では、更に小さく優美な文様を散らし、華やぎと優しさを加えています。

 

優美な文様は、宝尽くし文を中心に。
好奇心に溢れた大人の女性を象徴するような、知性を象徴する巻物と願いが叶う打ち出の小槌を上前中心に描きました。
いずれの文様も繊細に、そして見事な刺繍で彩られ、とても素敵ですね。
お袖にもふんだんに柄をあしらって。
お誂えならではの贅沢さがございます。

 

この作品は、地色を青勝色にしてクールな仕上がりでご用意いたしましたが、地色を練色や淡藤色でお染めいたしますと古典の上品さが際立ちます。
様々ご用意いたしますので、お気軽にご相談下さい。