えりちゃん、ご成人おめでとうございます。
U様、おめでとうございます。
貴女の愛娘は、こんなに可愛くご立派に成長なさって、無事成人式をお迎えになりました。
U様が、えりちゃんの入学式の時に誂えて下さった着物を、こうして今、えりちゃんが♪
遅く出来た子供なので、若いお母様方に混じって可哀想な想いをさせたくない。と赤色を選び、一緒に成人式の為の振袖の袖分も染めさせていただいたお着物でしたよね。
ちいちゃなえりちゃんの手を引いたU様の色無地姿、そして、えりちゃんの振袖姿。
2枚の写真を並べて飾ることは出来ませんでしたが、ウェブに載せて、いつでもどこからでもご覧いただけたら嬉しいです。
覚えてらっしゃいますか?
お裾に幸菱の金の箔を施した憲法色の色留袖が店のウィンドウにかかっていて、お気に留めてくださいましたね。
姫路には時々来るけどここにこんな呉服店があったのね、と仰って入ってこられたお姿を、今でも覚えています。
あの頃のU様は黒髪のロングヘアで、えりちゃんは本当によちよち歩きで小さくて。
私といえば、店に勤め出して日も浅く、着物は着られるもののお稽古だから着ていましたのレベル。
お店自体も、お稽古や社交、お嫁入り道具としてお誂えになるお客様が中心でしたから、U様のようなお客様は初めてだったように思います。
織元まで行かれて帯をオーダーなさったご旅行のお話等々、こだわりのお話を色々と伺いましたよね。
私共で申し上げれば、あの「ちょちょコート」は驚きでした。
お好きな色柄とはいえ、メーターいくらのポリエステルの生地を詳細なデザイン画と共にお預けくださって、タック幅はこれぐらいで、ここにこの柄が出るようにと細かいご指定。
仕立て師さんがU様の想いに奮起して、可愛いコートが出来上がりましたよね。
ポリなのに、という想い込みが浅はかなこと、教えていただきました。
「着物をもっと知ってね。好きになってね。」と教えてくださったU様、本当に有り難うございます。
まだ成人式のご用意には早すぎるのに、お袖に刺繍でも入れても可愛いかもね。と仰ってましたのに、
突然袖を付け替えてほしいとご依頼いただいた時は理由も分からずでしたが、ほどなくU様が闘病なさっていることを知りました。
最後にお目にかかったのは病室で、成人式の為の帯締めをお届けしましたよね。
病院のエレベーターホールから、診察室に入るU様に手を振りあってお別れしたのがまさか今生のお別れになるなんて、思いもよらないことでした。
旅立つ日にお召しになった絽の付下は、えりちゃんと一緒に選んだのですよ。
季節に沿った品で母の大好きな着物を着せて上げたいと仰ってくださったので、あの別注の源氏香の付下を着ていただきました。
はい、夏の一張羅とたとう紙に書いてくださってましたよね。
着心地、最高だったでしょう♪
着物を預けるコンテナはないだろうか、私がいなくなって捨てられたら悲しい…、と心配してらしたけど、それも大丈夫♪
えりちゃんは、母の子でした。(笑)
二人であーだこーだとU様の秘蔵品を片づけた様子を、はらはらしながら、見守ってくださったのではないでしょうか。
「この着物、えりちゃんと一緒に買ったらしいよ。え、覚えてないの?」
「えー、覚えてません~」
幾度となく繰り返された会話です。
心残りは病室にお届けした帯締めです。
桐箱に入っていたし、看護師さんは勝手に処分なさらないと思うんですけど、何故だか見当たらないんです…。もしかして、持っていかれました?
で、急遽お選びいただいた帯締めでしたが、可愛いですよね!
半衿はえりちゃんがご自身で縫い付けたのですよ♪
先日、えりちゃんとランチをご一緒しましたけど、「成人式の前撮りの時がマックス太っていたからね!」と念押しがございましたよ。
今、えりちゃんは大学、バレエ、バイト、そして就活とお忙しく、小さな頃から海外へとお連れになったご経験が今とても役に立っているそうです。これからどんな素晴らしい人生が開けるのかとても楽しみですね。
沢山の着物を愛する皆様に、えりちゃんの振袖姿を見ていただいて、おめでとう。良かったね。 と祝福していただけますと嬉しいですね。
U様、ご縁をいただき本当に有り難うございます。