染帯・織帯・刺繍帯の御誂え
パンダって可愛いでしょう?
お誂えはこのE様のお言葉から始まりました。
パンダ柄の小紋にも惹かれるけれど大人が着るにはどうかしら…
と、名古屋帯を誂えることに。
ただ、パンダの帯は時々拝見いたしますから、よくあるパンダの帯とは違う作品を誂えましょう。
こうしてパンダ帯プロジェクトは始まりました。
ご相談を重ねながら、まずお太鼓はパンダの背中で決定。
動物園で見るパンダの後ろ姿も可愛いです。
ちょっとすねた感じのパンダもいいよね。
もこっとした重量感や毛並みが伝わったらステキ。
こうしてパンダの後ろ姿も元気にしゅっとしているのではなく、
もさっとゆるく座っているようなパンダにしようとイメージが膨らみます。
アバウトなパンダの草稿が出来上がり、
原寸大図の制作と、織り制作をお願いしたのは夢訪庵(桝蔵)さん。
パンダの質感を表現するには染めより織り。
糸遣いにもこだわりたく、
そんな大人可愛いをかなえてくれる作家さんは、桝蔵さんをおいて他にはございません。
パンダの哀愁溢れる背中姿が決まりまして、次に検討したのは「手に何を持たせるか」
桝蔵さんにも加わっていただき色々と検討した結果、E様が毎年お出かけになる正倉院展から「琵琶」に決定。
意外性がありますが、パンダも琵琶も中国由来で繋がります。
実際演奏なんて出来ないであろうパンダが琵琶を抱えているなんて、その哀愁溢れる姿を想像するだけできゅんとしそう。
帯の地色は、E様のお好きな緑、綺麗な常盤緑で。
常盤緑の帯色を楽しんでいただけるよう、前腹はほぼ無地感覚で。
中心を外し、脇の下側にちょこんとお顔が覗くようにパンダのお顔をあしらいます。
よーく見るとパンダ?と分かるその塩梅を狙ってみました。
色を付けた原寸大の図案をご用意いただいて、柄位置などの詳細を詰め、あとはさあ、織り出しです♪
こうしてパンダの帯は完成いたしました。
とっても可愛いパンダの帯の織り上がりにE様も大満足。
お誂えいただき、誠に有難うございます。
お写真は、郡上紬に合わせたお姿です。
お出かけ前にお立ち寄りいただきました。
ふわもこなパンダさん、琵琶を大切に抱えています。
前柄の白いおめめもキュートでしょう?
可愛い帯を作らせていただき、私共も眼福です。
本作品は、2025年春号の美しいキモノ「お誂えの楽しみ」特集の139頁にご紹介いただき、癒されました~と編集部からもお声を頂戴し嬉しい限り♪
このような流れで、お客様のオリジナル作品をお作りしています。
無いものから作るお誂えはちょっとハードルが高いかもしれません。
お時間も頂戴いたしますが、
お誂え過程を含めてお楽しみいただける豊かな時間と、出来上がった時の喜びはひとしおです。
欲しいものがあり、それが無いのであれば創りましょう♪
ご機会ございましたら、皆様も是非どうぞ。