防寒、そして汚れ防止の為にも「はおりもの」は欠かせませんね。
特に、礼装着はショールではなくコートをおはおりいただきたいもの。
お求めいただきました訪問着に合わせ、道行コートをお誂えいただきました。

訪問着に合わせて
訪問着は、本糊糸目友禅の上品なお着物です。
このお着物と紬や小紋にも合わせられるコートを、とのご依頼でございましたので、刺繍のコートの御誂えをお勧めiいたしました。

生地の選定
お嬢様のお好きなお色、焦げ茶色を地色にお勧めいたします。
コート地は、天蚕糸入りの白生地なので、染めると天蚕糸部分が金色に輝くように染まるとても素敵な生地なのです。黄色と焦げ茶色の縞のようにも見えますね。

下絵を作成(後ろ身頃と右袖後ろ)
訪問着には素敵な柄が沢山描かれています。
その中から光琳松の柄をまず選び、竹、梅を揃えた「松竹梅文様」の柄を下絵に興します。

下絵(前身頃・立衿・左袖前)
こちらは、前側の下絵です。通常の取り方ではなく、袖口近くにも柄を入れました。

配色のイメージのご提案
刺繍のお色は、小袖の雛型図案集をご覧いただいて、イメージを固めてゆきます。
具体的にこの色で、というご指示も承りますが、この度は、こんな感じで、というイメージをお伺いし、進めてまいりました。

配色と刺繍のイメージのご提案
こちらは、梅の色と刺繍のイメージです。

手刺繍で柄が入りました
丁寧な手刺繍のコート地が出来上がりました。

背の柄
反物の状態の背の柄。

濃い地に松竹梅が浮かびます
羽織っていただくと帯の上に松竹梅が映えます。

所々に金駒刺繍で華やかさを
松の色もそれぞれ変えて。

こちらは茶系の笹の柄
笹の配色も変化を付けて。
生地は角度により、縞に見えたり格子に見えたりします。

お仕立て上がりました
シックなお好みのお嬢様と、ご年齢相当の可愛らしさをご希望のお母様。
双方の想いを汲み取り、抑えた色合いながら可愛いコートとなりました。
刺繍ならではの立体感やボリュームが華やかですね。
礼装着にもお洒落着にも綺麗に合わせていただけます。

肩裏もコート地に合わせた格子柄
肩裏は可愛い格子の柄を選んで。

立衿の部分
立衿の松竹梅です。

お名前もお入れして
下前の立衿部分には刺繍でお名前をお入れいたしました。
思い出深い一枚となりますように。(写真では、お名前の部分を暈かしてあります。)