足袋の右足だけのお誂え
着物には欠かせない足袋。
皆様、どうなさっていますか?
ちょっと話が長くなってしまいますが、暫しお付き合いくださいませ。
能や狂言、歌舞伎等の観劇の折、舞台に近い席で拝見する時には特に、演者の白足袋に目がゆきます。
御足に沿い、皴もなくぴたりと収まった白足袋は実に美しい。
着物を着始めた頃には全く気も付かず、思いも及ばなかった白足袋の大切さ。
当時は足元など見ることもなかったかも…
そんな未熟な私に、足袋の大切さを教えてくださったのはお茶の先生でした。
既成の足袋では足首と指のおさまりが悪く、不格好だったのでしょう、見るにみかねたのか、或る日、足袋を誂えたら、とご紹介いただきました。
当時も足袋の誂えが出来る足袋屋さんは限られていたように思います。
「銀座くのや」さんという、今は廃業されたお店の支店が大阪にあり、そこで足袋を誂えたのです。
箱を開け、ずらりと並ぶ白足袋にネーム入りのこはぜを見た時の嬉しさ♪
まず、ネーム入りのこはぜにうわあと感動し、足入れした時のフィット感に、さすがお誂えと実感いたしました。
それまで、まあ履ければいいよね、と思っていたのが間違いで、足に合う足袋は快適で、心なしか、足もきれいに見えるよう…。
その後、縁あって呉服業に携わることとなり、着物が日常着になった今日では、先生の後押しに感謝するばかりです。
銀座くのやさんが廃業後、今はゑびす足袋さんで誂えています。
タビックスやストレッチ足袋など、足袋のお好みは人それぞれですね。
ただ、もし、足袋に困ってらっしゃるのであれば、ゑびす足袋さん、お勧めです。
多くの既成型を揃えてらっしゃいますので、誂えずとも御足に合う足袋が見つかる可能性大ですよ。
さて、ようやく本題に入るのですが、、
足袋には未だお悩み処がございまして、それは「右足だけ足袋が傷む」問題。
なのです。
効き足である右足から踏み出し、立ち座りを繰り返すからでしょう、右足だけが傷んでしまう。
傷む個所は決まっているので、力を入れる場所を変える、あるいは、左足から踏み出す等の努力はするものの、長年の癖は抜けません。
そうして、左足の足袋だけがひっそり残される。
勿体ないですよね。
であれば、右足だけ誂えたらよいではないか。
と、思い切って、「右足だけ」誂えることに。
6足単位の注文であれば、とえびす足袋さんに受けていただき、まっさらの右足のみ6足(つまり三足分)、誂えました。
そもそも片足だけを足袋屋さんが誂えてくれるだろうかという心配と共に、両足の足袋の色の違いが気にならないのかなと、心配してもいたのです。
白の綿100%のキャラコ足袋は僅かながら白色に変化がございます。
まっさらの白の右足足袋と並んだ時に、左右で色が違いはしないだろうか、と案じていたのです。
で、履いてみたら、案外大丈夫♪
若干色は違うのですが、履いている本人が感じる程度で、恐らく気にならないレベル。
今まで残されてきた左足の足袋が履けるようになり、今まで勿体ないなあと思っていた足元問題が解決したのです。
きっと、同じように、「片足だけ足袋が傷む問題」に悩んでいる方いらっしゃるのでは。
ご参考になさってくださいませ。
*恐れ入りますが、片足のみの誂えが可能かどうかは、数量や価格等含め直接お確かめ下さい。