染帯・刺繍帯の御誂え
いつもお世話になっておりますⅠ様より、夏の染め帯のご依頼をいただきました。
リクエストの内容は
着装期間は5月末から9月までで、夏紬や附下にも合わせることの出来る黒地の絽縮緬
という具体的なリクエスト。
実はお品切れになった染名古屋帯(黒地の絽縮緬の染め帯)をお気に召していただいていたようなのです。似た帯があれば…とリクエストを頂戴いたしました。
誂えはかなり高額になるとお思いのⅠ様に、同じような仕様の帯を一からお誂えいただいた場合でも、同じお値段になる旨をお伝えし、ご安心いただいた上で、
1、全く新しいデザインで染帯を誂えていただく
2、お品切れの絽縮緬の帯を誂えていただく
3、似寄りのお品をお捜しする
この3つのアプローチでお話を進めてゆくことに。
そして、いろいろと検討を進めてまいりました結果、
お品切れの絽縮緬のデザインを一部Ⅰ様用にアレンジして、お作りすることになりました。
今在る柄の一部を変える or お色を変えるお誂えはイメージがし易いですね。
また、買いそびれてしまったものはいつまでも記憶に残りがち。
なので、その両方をご満足いただける、アレンジ版のお誂えとなりました。
Ⅰ様は、流水に花筏の構図自体をお気に入ってくださっていましたので、
花筏に浮かべる花の種類を変えることに。
お太鼓中心の花筏は撫子と萩ですが、これはこのままのほうが綺麗だと思うので、
左下や右上のお花のアレンジをご提案いたしました。
Ⅰ様のリクエストは桔梗と紅葉。
どのような感じになるのか、ラフイメージをお作りしご覧いただきます。
お色について、紅葉は青紅葉とほんの少しだけ色づいた紅葉を、とリクエストを頂戴いたしました。
大方が決まりましたので、ここからは染め屋さんの出番です。
実際に染める為の下絵をご用意いただきます。
この下絵は、弊店にて確認させていただきまして、染め作業に入っていただきました。
染め上がりました♪
無事お仕立ても済ませ、Ⅰ様の元に送り出しました。
Ⅰ様からいただきましたご感想です。
先日は黒絽縮緬の帯を送って頂いて実物を見ながらこう思いました。
写真で見ても良かったけど、実物で見るほうがより素敵だと思いました。
今はなかなか忙しくてまだですが、早く身に着けて出かけたいです。
本当にありがとうございました。
こちらこそ、いつもご贔屓いただきまして誠に有り難うございます。
ご依頼いただけるお客様、そして染めて下さる染め屋さんに心より感謝申し上げます。
新しくデザインを興すお誂えは、出来上がりのイメージが捉え難く難しいかもしれませんが、
Ⅰ様のように一部アレンジのお誂えは分かりやすく、且つオンリーワンのお品が出来上がりますね。
全ての染作品が同じように出来るとは限りませんが、どうぞご参考になさってください。