袋帯
小さな呉服専門店だからこそ、「好きを極める」姿勢を貫ける。
最近、つくづくとそう感じます。
そんな、好きを極めるマニアックさを、ご評価下さるお客様がいらしてくださる。
本当に有難いことでございます。
技術の宝庫でもある西陣帯に於いて、私共は「箔」が西陣の核心ではないかと常々感じています。
簡単に申し上げると、箔とは、和紙の上に漆を塗り、金銀などを重ねたシートを作って、それを細く裁断して糸として使うもの、「引き箔」と呼ばれるものです。
職人仕事の粋でもある煌めきは、帯に独特の陰影や深みを与え、とても美しい。
金銀の豪華さを語るのでなく、侘び寂びにも通じる美しさを持つ箔力もあるのです。
誉田屋源兵衛さんの作品は、その魅力を私たちに魅せてくれます。
今回ご紹介いたします袋帯「龍のおとし子」もまさしくそう。
前腹は縞のみでさらりと、
お太鼓には海藻の中に守られた龍の落とし子が愛らしく佇みます。
シックでいて華もあり、とにかく恰好いい。
それは、帯地全てにこだわった箔が使われているからなのです。
ご覧いただく角度によって、青みを帯びた藍墨茶色に映るのは、帯地のベースに、中国雲南省で採れた藍(雲南藍)で和紙を染めた引き箔を使用しているから。
そして、海藻文のような丸文の中は、珍しい古箔や焼箔で織り上げられ、表現し難い鈍い光と陰影をもつのです。
職人の遊び心も効いていて、縞柄にはじっとご覧いただくと、波の文様が。
作り手のお茶目心や、細部にも手を尽くす、矜持も感じられますね。
龍(竜)の落とし子とは、その名が示すように、まるで龍が海に生み落とした子供のようであることから命名されたため、染織の世界に於いても、古来より縁起柄として親しまれてまいりました。
お守りとして、貴女のお印として、
様々なお召しものにどうぞ。
■ 誉田屋源兵衛 袋帯(龍のおとし子)
●品切れ
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