名古屋帯(織り)
可愛い。
なんなのでしょう、この可愛さやデザインは。
夢訪庵さんだからこその創作品とお見受けし、その素敵さに一目惚れした作品です。
燦々と降り注ぐ太陽、新鮮な魚介類とお野菜たち。
今はもう懐かしくすら感じる地中海の光景が、この一皿に凝縮されたようなイスパニア絵皿紋。
イスパニアとはかつてローマ人が用いたイベリア半島の呼称です。
この帯の図案はスペイン時代のものなのですが、元々はイスパニア時代の柄だったので、夢訪庵さんでは、イスパニア紋と命名なさったとか。
楽しくて、且つ今は自由に旅行に行けない私達の心を癒やしてくれる柄ですが、織りは、桝蔵さんらしく実に本格派。
手織りであり草木染めであることは勿論ですが、織組織は、綴れよりも組織が密で手間がかかる織成織りという技法です。
桝蔵さん、芯が要らない八寸帯の本格派があったら着物好きに喜んでいただけるのではないか、と考え、最近は、織成の八寸帯にも注力なさってらっしゃるとか。
ふんわりとして、いかにも締め心地が良さそうな帯地でありつつ、クリアに浮き出る文様は織成だからこそですね。
染めには、あのフェルナンブーコを。
帯地の、ベージュのような淡いピンクのような表現し難いニュアンスカラーはフェルナンブーコの赤なのです。
そして、お魚や小花の赤い色もフェルナンブーコ。
ヴァイオリンの弓の一番色の薄い木を使って染め出した色が地色であり、逆に一番濃い木で染め出したのが柄の赤色になるのだとか。
小紋から紬、そして木綿など、お洒落着に。