名古屋帯(染め・刺繍)
あたかも一匹の大きな魚のように、
まるで集団が意志を持つかのように、群をなし自由自在に海を泳ぐ魚の群れ。
煌めく陽光を受け、時折魚の目が、鱗が、キラキラと輝いている命の営み。
船の上から海面を眺めていると時折そんな風景に出会いますが、この染め帯を拝見した時、鮮やかにその景色が蘇りました。
グラフィカルに描き取った魚のデッサンやその構成力が見事です。
若き染織家、大村幸太郎氏の作品「魚影紋」をご紹介いたします。
この染帯は、2019年に発表の第53回日本伝統工芸展にて文部科学大臣賞を受賞した友禅訪問着「魚群紋」をベースに発展させ構成しています。
線と線を組み合わせて角度を調整しながら法則を作り、群れにしています。
色はブルー濃淡ですが染め分けではなく、4色を重ね染めし、仕上げています。
大村幸太郎さんより
この染めの深みは重ね染めにより得られるお色なのですね。
深海から浅き海へと変化する表情もとても美しく、ロウ吹雪の繊細さも魅力なのです。
大村氏は魚釣りがご趣味なのだとか。
自然をありのままに捉える写生を基本にどう発展し創造するか。
その創造が作家作品の魅力です。
日本工芸会準会員
1976年 滋賀県に生まれる
1997年 嵯峨美術短期大学環境デザイン科卒 木原明氏、吉田喜八郎氏に師事
2004年 父、大村禎一のもとで製作活動開始
2006年より伝統工芸展に出展を重ね
2007年 第36回日本伝統工芸近畿展 友禅訪問着「予感の声」新人奨励賞
2019年 第53回日本伝統工芸展 友禅訪問着「魚群紋」文部科学大臣賞
■ 大村幸大郎 染名古屋帯(魚影紋)
※お値段は、お問い合わせ下さい。