典雅な貝桶の帯は優雅で雅な世界へと誘ってくれるよう。
時代を経てなお、今も私達と先達の人々が繋がっていると確信出来る。感性を共にする。
そんな想いに馳せることもまた、古典の魅力のように感じます。

 

この度オリジナルで図案を興しましたのは、「金彩段霞に貝桶」の染名古屋帯でございます。
原典は、小袖が掛けられた几帳の前に豪華な細工の貝桶が描かれた一服の景色でございました。
その絵に描かれた貝桶の見事な装飾がとても素晴らしく、帯へと誂えさせていただきました。

 

帯のお色は茶がかった黒、憲法色を選びました。
貝桶は、綺麗色の友禅で彩色した上、更に金銀で加飾を重ねる凝った仕様で、奥行きのある重厚感を表現いたします。
幸せを願う宝尽くし文には刺繍を折々に加え、有職文には光るプラチナ箔で輝きをプラス。
貝桶を束ねる紐の加飾にもこだわりました。
紐先に金糸捻りの刺繍をあしらい、煌めき感を演出します。

 

背景にある金彩段霞は、本来、それのみで帯が成り立つ美しさを誇りますが、お太鼓になれば隠れる部分にも贅沢に霞をお入れいたしました。

 

一つ一つの工程を職人さんと熟考しつつ丁寧に進め、創り上げられる世界観。
いつもながらの見事な仕上げには、感謝の言葉しかありません。

 

ラグジュアリーな染帯です。
訪問着や付下にも是非どうぞ。袋帯に適う品格がございます。