名古屋帯(織り)
六合とは、東西南北に天地を含めた全方向、また、宇宙を表します。
何気なく過ごしている日常、ほんの小さな事柄にも宇宙があり、可能性の拡がりがある。
全ての物事には表裏、多面があり、全ての角度から同時にものを見ることはできない。
人間には、宇宙の全てを見ることはできないけれど、心や創造力に果てはなく、どこまでも思いを馳せることはできる。
そんな心象を作品にしたものです。
宮崎涼子さんより
この青のなんて綺麗なこと。
LiDi織という刺繍のような編み込み技法で創り上げる新進の作家、宮崎涼子さんの織名古屋帯です。
消炭色、白磁色、そしてこの天色(あまいろ)の三色縞を眺めているだけで、その色のリズムに、心ときめきますね。
お太鼓には、更に白磁色の波橫段が格子を形作り、LiDi織の、三つ編みのような素敵な織段、更にお色も木賊緑や深紫色が加わって、複雑で奥行きのある表情豊かな帯を届けてくださいました。
生糸に混じる玉糸や絣が生み出す表情、丁寧な織と豊かな感性を感じる作品です。
お洒落着物に。
染めの小紋でも織りの紬でもどちらでも。
マレーシア・ボルネオ島のイバン族の織物に見られる、「LiDi(リディ)」というヨコ糸を手編みにて織りながら編みこんでゆく、独特の技法。
宮崎さんは、イバン族と共に生活し学ぶ中で、この技法を布の中で表現してみたいと思い、織り上げたのがこの帯です。
京都市立芸術大学 卒業
同大学院 修士課程 卒業
大学在学中、マレーシアボルネオ島のイバン族の村で生活し、イバン族祭事用の布「Pua Kumbu」を修得。その後も東南アジアを中心に布を研究、創作。