染帯・刺繍帯の御誂え
そのお客様お一人の為に。
お好みやご希望に合わせて、この世に一つしかないお品をお作りする御誂え。
完全オーダーメイドの特別なお愉しみです。
あらゆるお品のオーダーを承りますが、こちらでは、弊店オリジナルとして制作いたしました若冲写しの染名古屋帯の制作過程をご紹介してまいります。
本作品は、お客様ご注文ではなく、弊店オリジナルでお誂えいたしました。
お誂え承りますので、ご相談下さいませ。
伊藤若冲の葡萄図を元に制作いたしますが、墨の濃淡のみで描かれた原画をそのまま再現するのではなく、大胆な幹の肌合いはそのままに、葡萄には紫を、葉にも彩色を施す予定です。
まず、そのイメージを落とし込んだラフな下絵を2案制作いたします。
ラフといっても、写実的な作品ですから、作り込んだ下絵となります。
両案のうち、この度はB案に決定です。
詳細を煮詰め、実際に染めるための下絵を作り上げます。
前腹は両腹に柄をたっぷりご堪能いただけるように。
真糊糸目を落とした後にも地色を覗かせたいため、先に白茶色で引き染めした後、下絵の上に生地をのせ、糸目を引いてゆきます。
繊細な筆遣いにより、味わいのある筆致や微妙な暈し、滲みが出来上がるのです。
職人さんの、今まで積み上げてこられた技量が発揮されます。
単なる写しではない、職人さんの自負が筆に込められて。
葡萄の背景にも、何か取り方(模様)を入れると、より華やかな印象にはなるのですが、この度は、あえて何も加えずに写実的な葡萄、ただそれのみで勝負出来るように。
染めに力が無いと出来ない事です。
極く僅か、あくまでも友禅を引き立てるための刺繍ですが、このさじ加減によっても、上がりが違ってまいります。
沢山の色糸の中から吟味した2色です。
完成いたしました。
弊店オリジナル若冲葡萄図写しの染名古屋帯が出来上がりました。
御誂えは、出来上がるまでの過程も心躍る楽しい時間が過ごせます。
御誂えは、全く何もないところから始めますので、出来上がりがイメージできず、ご不安に思う方もいらっしゃるかと思います。
その場合は、何かご参考になるもの(例えば雑誌掲載の着物や帯等)をお示しくださいますと、より分かりやすいかとも思います。