名古屋帯(染め・刺繍)
弊店は誂えを手掛ける事も多く、だからこそより強く、染織の世界はつくづく手仕事なのだと実感します。
一色のみ染めるとしても、誰にお願いするかで染め上がりは確実に変わりますから、友禅となれば、更にその職人、作家にしか描けない世界や表現があるのです。
誰でも描けるものではないからこそ、今この時代に作っておきたい。
日本画のような、熟練の職人の腕が冴える手描き友禅。
そんな想いでご紹介しています。
本作品は、伊藤若冲の「梅花晧月図」を染帯に御調整した弊店オリジナル。
主に別誂えにより染め出ししておりますが、この度は、青味や紫味を帯びた淡いグレイ、”相思鼠色”でお作りいたしました。
若冲の緻密さと大胆さに、友禅師の柔らかな筆遣いが加わって、新たな若冲の世界、梅花晧月図の染名古屋帯が染め上がりました。
素描きと糊糸目を併用して見事に描かれた梅の古木に花開き、薫る白梅。
静かに輝く月の光を受け、白く輝く白梅がとても綺麗ですね。
早朝の凜とした景色が伝わってまいります。
白梅と古木の幹には、ところどころに刺繍と金泥の彩りを添え、さりげなく、でも確実にゴージャスに。
友禅、刺繍、そして金泥と、それぞれの職人達の技量とセンスが滲み出る逸品です。
季節を語る染帯として、もしくは、日本らしさを演出してくれる一品として、
様々なシーンで是非。