男児用 お宮詣り着・七五三の御誂え
S様にご来店いただきましたのは、寒さも厳しくなってきた11月の中旬でした。
来春の第二子のご誕生に際して、既成のお宮参り着ではなく、お誂えでご用意なさりたいとのこと。
第一子ご誕生の時にも誂えたいと思われていたそうですが、実現には至らず、今回は必ずと思われていたそうです。
かねてより弊店を知っていたものの、お入り下さる機会はなかったそう。
この度、誂えをするならば、と私共をお選びくださったそうです。
S様、ご信頼いただきまして、誠に有り難うございます。
お着物がとてもお好きで、ご自身でも楽しまれているS様。
お宮詣り着には宝尽くしの柄がよいのでは、と ご自身で描かれたデザイン案もお持ち下さいました。
また、和裁の知識も豊富でらっしゃいますので、お宮参り着には、様々なバリエーションの選択があることもご存じです。
一つ身、三ツ身、四つ身などなど。
今後のお子様方のご成長や女児ご誕生の可能性、((^o^))
ご自身のお着物への活用も含め、今後を見据えながら考えてゆく時間もまた楽しいですね。
新たにデザインを興す時間的な余裕もあるのですが、S様のご希望を伺いますと、候補に挙がりそうな小紋がいくつかございましたので、まずはそれらの小紋をご覧いただくことをご提案いたします。
誂えの難しさは、出来上がりの想像が付き難いこと。
下絵では出来上がりのイメージが掴みがたく、染め上がりが想像と違った、となるケースもあるかもしれません。
現品から選ぶのが無難で間違いない方法ではあるものの、誂えでないと御手に出来ない作品があることも事実です。
その点、
既存品からのアレンジはイメージが掴みやすく、ご安心して誂えていただけるのです。
ご提案した小紋の中からお選びになったのはこちらの柄。
段暈かしの染め分けで、籠目や宝尽くしの金彩が映えた素敵な小紋です。
金彩のデザインも現品のままでお気に入っていただきましたので、
白生地は、向かい鶴文のお目出度い柄のお品を。
お色は、
宝尽くしの段には赤味を帯びた華やかな藤色、
無地部分には、向かい鶴の地紋が映える鶸色、
籠目部分には、極く薄いイエロー。
この三色をお選びになりました。
お襦袢は、金通しが綺麗な大きな宝尽くし柄。
宝尽くしon宝尽くしのコーディネート♪
比翼袖には、ご持参いただいた毘沙門亀甲の白生地を濃い鶸色にお染めします。
反物が染め上がりました。
優しいお色の組合せ、素敵でございますね。
この度は一つ身でご用意し、出来るだけ布を残せるよう、裁ち方にも剥ぎを入れるなど工夫いたしました。
襦袢も付け袖仕様に。
剥ぎの位置や裁ちの繰り回しなどは、全てS様のご指示の元なのです。
仕立てについても明確なご希望があり、且つ知識のあるお客様は少なく、S様のお着物に対する愛情や想いが伝わって参りました。
S様、おめでとうございました。
この度はご用命いただきまして、誠に有り難うございます。