色の染め変え・柄のお直し
お預かりいたしました色無地は、お祖母様のお品だとか。
琳派波に鶴が飛翔するお目出度い柄ゆきで、恐らく最初は薄色だったものを染め替えて着用していたのではないか、とS様。
とても素適な柄ですがこの色だと恐らく着用の機会もなく、
また、別途ご依頼いただいておりますお誂えにも活用出来るだろうかと、染め替えをご依頼いただきました。
ご希望の染色にもよりますが、薄色から濃色への染め替えは、着物の色を抜かず上から染めるだけで可能な場合が多いですが、薄色への染め替えは、着物の色を一旦抜いて白生地に戻さないといけません。
色抜きの場合、気を付けないといけないのが、今現在、布表には出現していない布の由来、例えばシミ抜き処置の跡等の各種薬剤使用の跡や染めムラが色を抜く事により現れる可能性があることです。
そのため、染め替えの場合は、白生地に戻し状態を確認してから、染め色についてご相談させていただくことが多くなります。
S様の色無地もまず色抜きをさせていただきました。
出来上がりました。
八掛はそのままで、表地だけ色抜きをいたしました。
真白には戻らないものの、うっすらとグレイがかった良い色になり、シミ跡も目立たなく、お目出度い地紋も華やかな色無地反物に戻りました。
色を染める予定でしたが、お年を重ねた時にこのお色のままで着用出来る日が来るかもしれませんね。
次のデビューまで、丸巻きのまま、S様宅で出番を待つことになりました。
S様、ご依頼いただきまして誠に有り難うございました。